家づくりコラム
高気密高断熱について

HOME | 家づくりコラム | 高気密高断熱について

高断熱高気密の家について知っておいてほしいこと

高気密高断熱とはどのような家で、どんな特徴があるのかを解説したいと思います。

 

「高気密について」

まずは、「高気密」とはどんな状態の家を言うのかを解説します。
 
「気密性能」というのは、家の隙間の度合いがどれだけあるのかという「C値」で表されます。「C値」は床面積当たりの隙間の割合で、工事中の「気密測定」によって図ることができます。
 
つまり「気密性能」は設計の段階ではなく、主要な工事を終えた段階で初めてわかるものだということ是非知っておいてください。後で述べますが、設計時にUA値で表示される断熱性能とはこの点が異なります。
そして、「気密測定」は義務ではありませんので、すべての住宅会社が行っていないのも事実です。むしろ「ほとんどの会社がやっていない」といっても過言ではありません。
「気密性能」の善し悪しを語る前に、「気密測定」自体をやっているか否かを是非確かめてください。
 

気密測定の様子

 
C値」とは床面積(㎡)あたりの隙間(㎠)の割合ですので、例えば100㎡の床面積で隙間が100㎠であれば1.0となります。50㎠であれば05となります。
では、どのレベルが高気密かというと、最低でも1.0を切る数値でないと「気密が高い」とはいえないでしょう。
ちなみに、エシカルハウスでは0.5以下の数値が標準です。
このC値は施工精度に大きく影響されますので、高品質で施工することが重要になります。つまり、施工品質が低い会社では高い数値を出すことが難しいのです。「気密測定」自体をやっていない会社であれば、そもそもそこを気にしていないということですので、いわずもがなです。
 

「高気密」のメリット

気密が高いと「換気」が計画的に行われるということが最大のメリットです。隙間が多いといろんなところから空気が抜けるので換気が計画通りに行われません。そうなると、家の中の汚れた空気が籠ります。更に湿気だまりも起こるので、結露などがおこりやすく、カビやダニなどのアレルゲンも発生しやすくなります。
つまり、換気がしっかり行われないことで、家の耐久性も下がり、なにより人の健康に害を及ぼす可能性が高くなることになります。
これも、最初の建築段階で大きく決まってしまうので、そこをしっかりと施工してくれる会社であるか否かを是非判断してほしいと思っています。
 

 

「高気密の家は息苦しくないですか?」

それは、高気密に対する間違ったイメージです。換気がしっかり行えるわけですから、きれいな空気が家の中に循環して、気持ち良い空気の中で絶えず生活できるということになり、イメージとは逆に、とても快適だということが言えるでしょう。
 

「高気密の家は窓を空けてはいけないのですか?」

「高気密」の家は、「真夏」や「真冬」のように冷暖房を動かしている関係で、窓を空けられない季節に「換気の効果」を最大に発揮するものであります。
春や秋のような窓を開けても気持ち良い風が入る季節であれば、窓を開けても全く問題はありません。特に風の通りがしやすい設計であればなおのことです。
 
 

「高断熱」について

その名の通り「断熱性能」が高い家のことになるのですが、ではどの程度の性能であれば「高断熱」といえるのでしょうか。
色々な見方があると思いますが、まずは「UA値」という断熱性能を示す数値で判断するのが良いと思います。
UA値」というのは、建物を覆う表面(外壁、屋根、窓、基礎、床下など)の性能をそれぞれ面積で割った数平均数値です。現在の日本では「性能表示制度の温熱等級」で基準が示されています。(202210月より一部改訂)
 

 
このように、地域によってそのレベルが等級でわかるということになります。
また、HEAT20という民間団体で示している数値も参考になります。
 
 
当社として「高断熱」というのは最低でも「等級6」できれば「HEA20G2」をクリアした建物になると考えてます。
新潟市内であれば、等級6UA0.46以下)HEAT20UA0.34以下)となります。
長期優良住宅の基準も、これまで等級4(UA0.87以下)だったのですが202210月から等級5以上(UA0.60以下)となります。このことを考えても「等級5以上」がギリギリ合格ラインで、「等級4以下」は推奨できないレベルと言えると思います。
ちなみに、エシカルハウスではほとんどの住宅がUA0.28以下という、北海道でもHEAT20 G2をクリアする性能となっています。
 

断熱性能をあげるためには

「壁」と「屋根」「床」「基礎」などの家を覆う部分の断熱仕様を高性能にすることが大事です。
つまり、性能の良い断熱材をできるだけ厚く施工することです。
そして、性能が落ちてしまう窓の部分を高性能サッシにすることが必須となります。
 

 
当社の仕様の詳細についてはエシカルハウスの断熱性能をご参照ください。 

 

高断熱のメリット

なんと言っても「冬が暖かく夏は涼しい」ことです。そして、それを少ないエネルギーで実現できることにあります。もちろん、「高断熱」でなくともエアコンや暖房器具をガンガン働かせて、たくさんの電気代や灯油代ガス代を負担すればそれなりに快適にはなるでしょう。
しかし、それは現実的ではありませんので、そのような家ではできるだけリビングなどの人がいる場所の建具を仕切り、その狭い空間だけを冷暖房するということになります。すると、そのリビングや部屋を出て廊下やホールにでると寒い(暑い)という不快な暮らしになってしまいます。最悪の場合はヒートショックを起こします。
一方高断熱の家であれば、吹き抜けや階段を通して開放的な空間で空気の流れる場所を設計することで、家全体が冷暖房され、どこにいても温度差のない快適な暮らしが実現できます。もちろん、省エネでそれが可能となるのです。
 
当然、最初の建築費のイニシャルコストは増えますが、これから何10年と一生暮らしていく中での「快適性」と「エネルギー代」をどう考えるかで、その意味は変わります。
 

「高気密」と「高断熱」はセットで考える 

このように「高気密」と「高断熱」の解説をしましたが、元も大事なことは、この二つは必ずセットで考えなければいけないということです。
特に、「高断熱なのに気密性能が低い」というような家は、次のような悪い状態が予想されます。
 
断熱性能が高いということは、家の中と外との温度差が大きいということです。温度差が大きいとどこかに湿気がこもりやすくなります。人の息などもあり家の中には絶えず水蒸気が発生していますので、それが家のどかに溜まってしまうと、カビやダニの発生などの要因になります。そこからシックハウスに繋がることも可能性が大です。
 
そのような状態を解消するためには、家の中の空気を換気させる必要があります。
つまり、建物を「高気密」にして「換気性能」を高くすることで、家の中の空気を絶えずきれいな状態に循環させて、家の中の湿気のこもりをなくすことが重要になるのです。
 
このように、「高気密高断熱」の家は、メリットがたくさんあります。お客様の家を建築の際にしっかりと対処して建てることができれば、そのあとの暮らしの中ではとても快適で健康的な生活を実現してくれます。
 

「高気密高断熱の家」のデメリット

理想の家を追求するのであれば、デメリットは思い浮かびませんが、あえてデメリットとすれば、最初に一定の建築コストが掛かるということです。
どれだけのコストが必要なのか、それが捻出可能なのかは、それぞれの資金計画で検討が必要だとは思います。もしかすると、お考えのご予算内では難しいというケースもあるかと思います。
当社でも、そのような方もいらっしゃいますが、その際は「FPによるライフプランの設計」を行っていただき、将来のお金の状況を認識していただきながらどこまで可能なのかもご判断いただいています。
その中で、家の大きさや仕様の選別などをどこまでコントロールできるかを打ち合わせしながら進めています。
キッチンやお風呂などの設備類は将来的にリフォームで交換することは容易ですが、「高気密高断熱に関わる工事」をリフォーム工事で行うのはとても難易度が高くコストもかなり高額になります。
 
そういうこともしっかりと考慮していただいて、ご判断していただければと思います。
 
夏は蒸し暑く、冬は厳しい寒さの新潟県内で、ずっと快適で健康に暮らせる家にしたいとお考えの方は、是非、「高気密高断熱」の家を実現してほしいと思っています。
エシカルハウスでは、この高気密高断熱の家の自邸をモデルハウスにしています。ご興味ある方は是非体感してみてください。
 
自邸モデルハウス夏の体感会はこちらから
 

エシカルハウス(株)菅原建築設計事務所  代表取締役 菅原守利

コラム記事一覧

新潟で平屋を建てる時のポイント

自然素材の家を建てる時のポイント

エアコン1台の全館空調で冬でも快適な理由

夏でもエアコン1台で快適な理由

断熱性能について

高気密高断熱の家について

Q1住宅について

地盤について

長期優良住宅について