エシカルハウスの家に暮らす

五泉市 M様

エシカルハウスの家に暮らすお施主様の様子を取材してご紹介します
 

休⽇は緑の景色を眺めながらのんびりと。五泉で叶えたリゾートライフ

 

 
 
※本記事は住宅情報WEBマガジン Daily Lives Niigata による取材記事です。

 

⼤らかな⾃然に包まれて


2020年春、五泉の市街地から離れた土地で家を建てたMさん夫婦。
ちょうど築1年が過ぎた春の⽇の午後にMさん家族の家を訪れました。
この家はご主⼈の実家の敷地内に建てられており、⼟地の広さは300坪を優に超えそうです。広⼤な⼟地にはMさん家族が暮らす家の他に、ご主⼈の両親が住む平屋、ガレージ、納屋が⽴っています。
 

 
この⼟地は何坪くらいありますか︖
質問すると、「えっ…坪数ですか︖分からないですね…。向こうに⾒える⽵林はお隣の⼟地ですが、その⼿前まではうちの敷地です」とご主⼈。
 
 
 
家の北側は⽵林と杉に囲まれた緑地で、⾥⼭を切り取ってきたかのような⾵景が広がっています。
区画整理された分譲地はもちろん、住宅地で家を建てる場合は、坪数や坪単価を意識するものですが、Mさん家族が住む⼟地はそんな概念とは無縁の⼤らかさがありました。

 

決め⼿は断熱性能にかける探究⼼

「以前は同じ五泉市内のアパートに住んでいたんですが、⼦どもが⽣まれて⼿狭に感じるようになりました。3、4年前に両親が実家の敷地内に新築をしてそこに住み始め、古い⺟屋が残っていたんです。その⺟屋を解体して僕たちの家を建てることにしました」とご主⼈。
 
 
 

ご主⼈は前職が建築の現場監理、奥様は設計事務所に勤めており、⼆⼈とも建築関係の仕事に携わってきたMさんご夫婦。
「私は⽇々の⽣活がしやすい機能性やデザインを、主⼈は杉板の外壁を使った外観を…と、それぞれが求める住まいのイメージがありました。その希望を叶えられる住宅会社をネット検索していく中で⾒つけたのが菅原建築設計事務所さんだったんです」(奥様)。
 

 

冬に菅原さんの事務所を訪れ、併設のモデルハウスを兼ねた⾃宅も⾒学。その暖かさを体感し、断熱性能の重要性も考えるようになったといいます。
「実はもう1社同時に検討していたんですが、より断熱に対して⼒を⼊れていることが決め⼿となり、菅原さんに依頼することにしました」とご主⼈。
 
 

味わいのある杉板のファサードラタン

集落内の⼩道の突き当たりにあるM邸に近づくと、敷地⼊⼝にある桜の⽊が迎えてくれました。

 
 

そのすぐ右⼿にはご両親が住む平屋があり、正⾯奥にMさん家族の家が建っています。
南向きの家は、1階部分がファサードラタンと呼ばれるスノコ状の杉板張りで、2階はメンテナンスフリーのそとん壁仕上げ。

 
 
プライバシーに配慮して1階部分の窓の⼤きさを抑える⼀⽅、2階には⼤窓を連ね、⾃然光をたっぷりと採り込めるように設計されています。
 

 
また、冬の低い⽇差しを室内に採り込む⼀⽅、夏の⽇射を遮られるように軒を伸ばすという、住まいとしての基本が⼤切に考えられています。
 

キャンプ道具が並ぶシューズクローク

ポーチ⼿前の植え込みには、ご夫婦が植えた鮮やかな芝桜が春の訪れを告げるように咲き誇っています。
 

 
格⼦で⽬隠しされたポーチへ⼊り⽞関ドアを開けると、レモングラスの⾹りが流れてきました。
 

 
リビングに置かれたニールズヤードのアロマポットから広がる爽やかな⾹りは、上品でフレンドリーな東南アジアのリゾートホテルを彷彿とさせます。
⽞関の天井と框(かまち)の下には間接照明が仕込まれており、柔らかい光が優しく空間を照らします。
 

 
その隣は2.5畳のシューズクローク。
 

 
 
テントなどの⼤きなキャンプギアを収納できる可動棚に、上着を掛けられるハンガーパイプ、スキーやスノーボードを⽴て掛ける板や、傘を掛けるポール、ヘルメットを壁掛けできる有孔ボードなど、さまざまな道具を効率よく収納できるように⼯夫されています。
⽞関正⾯には廊下が伸びており、右⼿にはトイレ、洗⾯脱⾐室、浴室が並び、奥に個室、左⼿にはこの家の中⼼となるLDKが広がります。
 

 

⾃然素材をふんだんに使ったLDK

⽞関で靴を脱ぎ左⼿の製作建具を開くと、吹き抜けがあるLDKが現れました。
 

 
太い2本の丸柱が⼒強く並び、⼿前にはキッチンと⼀体につくられた造作ダイニングテーブルが伸びています。
「⼦どもがまだ⼩さいですが、いずれ勉強スペースとして使えるようにカウンターを設けました」と奥様。⽬の前のキッチンで⾷事の準備をしながら、お⼦さんの宿題を⾒ることもできます。
 

 
頭上に広がるのは⼤きな吹き抜けで、⾼窓から⼊った光が中霧島の塗り壁に反射しながら空間を柔らかく照らします。
 

 
「夜、塗り壁に照明の光が当たると⼀層きれいに⾒えるんですよ」と話す奥様は、夜は調光で明るさを抑え、くつろいだ雰囲気で過ごしているそうです。

 
 

 
ダイニングの天井から下がるのはジョージ・ネルソンのバブルランプで、提灯を洗練させたようなモダンな照明が空間のアクセントになっています。
キッチンはリクシルのリシェルSIで、ワークトップには熱やキズに強いセラミックトップを採⽤。
 
 
その後ろの引き出し収納には、器を選ぶのが好きな奥様が集めた⾷器がたっぷりと収納されており、上の飾り棚にはコーヒーやお茶の道具が並んでいます。
キッチンからはLDK全体を⾒渡すことができ、廊下側から洗⾯脱⾐室へもスムーズに⾏き来できます。
 

 

鮮やかな⽵林を眺めながら

ところで、「北側に広がる庭を眺めながら居⼼地よく過ごせる空間にしたかった」と話す奥様は、家づくりを進める中で、全体のゾーニングを描きながら希望を伝えたといいます。
そうして設けられたのが、緑あふれる庭と⽵林を望むリビングでした。
 

 
北側に広がる庭は順光の⽇差しを受けてキラキラと輝いて⾒えますし、⽇除けのために窓のロールスクリーンを下ろす必要がないため、いつでも庭の景⾊を楽しむことができます。
ゆったりとしたソファは広松⽊⼯のフレックスソファ。重厚なウォルナットにスチールの脚、丈夫な帆布のクッションカバーにはラフな美しさがあります。
 

 
「ウッドデッキは⽇中⽇陰になる時間が⻑いので夏でも涼しく過ごせるんですよ。アウトドア⽤のテーブルを出してデッキでごはんを⾷べたり、庭にテントを張って過ごすこともあります」とご主⼈。
 

  
わざわざ⾞でキャンプ場へ出掛けなくても、快適な家に居ながら、いつでも気軽に⾃然に触れられるのもM邸の魅⼒です。
「何年かかるか分かりませんが、これから少しずつ庭づくりも進めていく予定です」(奥様)。
 

LDKの⼀⾓には仕事スペースも

リビングに隣接する和室はゲストの宿泊⽤にと設けたお部屋。
 

 
建具で閉じることもできますが、普段はお⼦さんがおもちゃを広げて遊ぶスペースとして活⽤しているため、建具は全て取り外し、リビングと⼀体に使っています。
 
 
また、LDKの⼀⾓にはデスクトップパソコンやプリンタが置かれたデスクがあり、通勤をせずにここでリモートワークをすることもあるそうです。
 

 
ゆったりとした⼤空間のLDKには、さまざまなシーンで使える空間が散りばめられており、家族が⼀緒の空間を共有しながらも思い思いの時間を過ごすことができます。
 
 
真冬の朝も⼼地よい⽬覚めにリビングの階段を上がり2階へ⾏くと、物⼲しスペースを兼ねた廊下が伸びていました。
 

 
その他に納⼾と将来的に2部屋に分けられる個室があり、今はそこを家族3⼈で眠る寝室として使っています。
 
 
「この家に住んでいいなと思うのは、真冬でも⽞関に⼊った瞬間から暖かいことですね。特に冬の朝が家の⼒を最も感じる時です。アパートに住んでいた頃は、廊下が寒くて朝⽬が覚めてもすぐに動けなかったですが、この家に住んでからは家中どこに⾏っても暖かいので、すっと起きて動けるようになりました。布団も以前はふわふわの敷きパッドや、掛け布団以外に⽑布が必要でしたが、今は掛け布団1枚で過ごしています」と奥様。
 

 
三⽅に窓がある寝室は、朝は東から昇る朝⽇で満たされ、爽やかな⽬覚めを迎えることができます。
 

コロナ禍でもストレスのない⽣活

M邸の⾼い断熱性能は、壁の厚さに秘密があります。
 

 
壁内に⾼性能グラスウール 105mmを充填するのが⼀般的な⽊造住宅の断熱⽅法ですが、菅原建築設計事務所の場合はその外側にさらに断熱材を付加することを標準にしています。
 
 
「Mさんの家では105mmの付加断熱をしていますので、壁内の断熱材の厚さは合計210mmと、⼀般的な住宅の2倍。それにより、Q値0.94、UA値0.31(HEAT20G2グレード)とい
う⾼い断熱性能を実現しています」と菅原さん。
 

 
「冬はリビングのTVボードの下にある床下エアコン1台で家中が暖まりますし、床も温かくて気持ちいいですね。以前は家の中でフリースを⽻織っていましたが、今は⻑袖1枚で過ごせます。夏の冷房は2階にあるエアコン1台だけで⼗分ですし、オークの床がさらりとしているのではだしで過ごすと気持ちいいんですよ。アパート暮らしの時は、家族が⼾を開け放しにすると『ちゃんと閉めて︕』と言っていましたが、この家では逆に⼾は開けておくのが当たり前になっています」と奥様。
 
 
ちょうど家が完成したのは、⽇本でも新型コロナウイルスの感染拡⼤が深刻化した時期で、遊びに出掛けることが制限されるようになったタイミングでした。
 

 
「休⽇にわざわざ出掛けなくても、家に居て⼼が休まるんですよね。コロナ禍でもストレスはゼロでした。春になれば桜の花が咲き、秋になればケヤキの葉が紅葉するのを家の中に居ながら⾒られるので季節感も味わえますし。そういえば、新しく買ったテントもまだ庭でしか使ってないです(笑)」とご主⼈。
 
 
リビングの掃き出し窓の横にはちょっとした作業ができるデスクが造作されていますが、そこはアロマポットやグリーンが置かれた癒やしコーナー。明るい⻩緑⾊の若葉をつけた枝がガラスのフラワーベースに飾られていますが、これは庭のケヤキの枝を切って挿したものなのだそう。
 

 

お気に⼊りのコーヒーと共にくつろぐ

お話をしながら、ご主⼈がポーレックスの筒状のミルで⾖を挽き、コーヒーをドリップをしてくれました。
 

 
「江南区にあるKONA SNOW Coffee Roastersさんの⾖なんですが、ここのコーヒーが好きでよく買っています。ミルの調整を間違って細かく挽いてしまったので、ちょっと苦いかもしれませんが…」と、出してもらったコーヒーは、豊かな⾹りとエスプレッソのような濃い味わい。キャンプの朝の⽬覚めの⼀杯に飲みたくなるような、深みのあるコーヒーでした。
 

 
窓の外に広がる⾃然を愛でながら、ソファに腰掛けてコーヒーを飲みながら過ごすひと時。
そんな何気ない休⽇が、Mさん家族にとって何事にも替えがたい贅沢な時間になっていることをうかがい知ることができました。
 

 
 
M邸
五泉市
延床面積 38.2坪
竣工年月 2020年3月
設計・施工 エシカルハウス 株式会社菅原建築設計事務所
写真・文/Daily Lives Niigata 鈴木亮平